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ダイバージェンス・イヴ(TVアニメ動画)

2003年夏アニメ
★★★★☆ 3.2 (28)
200人が棚に入れました
『ダイバージェンス・イヴ』は、日本のホラーSFアニメ作品。2003年にUHFアニメ(アニメ魂内)として放送された。
【ストーリー】西暦2317年、地球から10パーセク離れた宇宙ステーション「ウォッチャーズ・ネスト」に駐留する特殊部隊「セラフィム」に、紅葉みさき、スサーナ・ブースタイン、ルクサンドラ・フレイル、キリ・マリアレーテの4人の候補生が配属された。
たった1名のセラフィム隊員を目指し、仲間として、ときにはライバルとして訓練に励む候補生達。しかし、彼女らは本当の任務を知らされてはいなかった。ウォッチャーズ・ネストに幾度も襲来する人類の脅威とも言える存在・グール──それが自分達が戦う真の敵であることを…。
そしてある日、グールは容赦なくみさき達に襲い掛かる。初めて本当の任務を知らされ、宇宙の深淵より迫り来る恐怖からもはや逃れることは出来ないことを悟るみさき達。さらに彼女たちの前に、ウォッチャーズ・ネストの隠された過去が、人類とグールとの接触に秘められた謎が、次々と明らかになっていく。
しかし、それはまだ、ある意思が仕組んだプロジェクト…人類を「新たなる進化の分岐点」すなわち「”ダイバージェンス・イヴ”の誕生」へと導こうとする、巨大な策謀のほんの始まりに過ぎなかった。紅葉みさきは、己の遺伝子に記された運命を知らずに背負ったまま、”監視者の巣(ウォッチャーズ・ネスト)”に囚われていく…。


声優・キャラクター
かかずゆみ、小林沙苗、水沢史絵、高木礼子、木内レイコ、佐藤利奈、松来未祐、子安武人、沢木郁也、吉野裕行、大友龍三郎

nyaro さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

SF作品鑑賞の入門書 続きものですが本作だけでも面白い秀逸なSF。

 本作は難解に見えますが暗示的な部分はあまりなくほぼ明示されます。ただ、構成が小説的で時系列があるので、戸惑うかもしれません。また、用語を使い倒しているので、ポカーンとなるかもしれません。
 SF作品として設定、世界観、キャラ造形、謎、すべてが非常に面白いと思いますが、評価されないのもそのせいかもしれません。

 なので、私なりの本作の見方を記載しておきます。

 我々は量子力学、本作ならトンネル効果やポテンシャル障壁を知らないとSFが読めないかと言えばそんなことはありません。SF作品においては、その設定で何ができるようになっているかがわかればいいと思います。

 その代わり、その設定が説明されるまで難解な単語の理解を保留しておく必要があります。また、その科学的な単語については、もし知識がある人が見た場合には矛盾なくその設定と整合していなければなりません。

 本作でいえば、人間が宇宙進出のために量子トンネル効果を利用した「インフレーションホール」は恒星間移動をするための技術あり、それが他の宇宙と繋がってしまった。その宇宙には生命がいて、攻撃を仕掛けてくるので、量子障壁=バリア―的なもののエネルギーのポテンシャルを上げるのが赤いレーザーです。一方直接戦う部隊として、ミサキたちのロボット部隊がいます。
 〇〇%実体化というのは存在確率になるので、グールの実体化の割合を示しているので、この数値が高いほどヤバイと思いえばいいでしょう。

 異次元生物は、人間の遺伝子に影響を及ぼしている。その遺伝子の変化がもっとも進んだのがミサキである、いうことです。話の裏にある男どもと眼鏡ちゃんの陰謀はここに関わってきます。
 インテグラルシステムの積分云々というのは、量子的確率的な情報の分布が観測できる仕組みですが、それを認識するためには特殊な才能が必要と言っているのでしょう。インテグラルシステムには才能がいる=候補性だと分かれば十分です。

 時系列シャッフルは、そこに謎があるので読み解けよ、と。だから日付情報がテロップで出る場合は、その日付の順番と何が起きているのかを記憶しておかなければなりません。そしてどの出来事や単語を覚えておけば、謎ときにつながるのかを察知しなければなりません。
 これは例えばDアニメの各話のあらすじに年月日が記載があるので便利に使ったりするといいと思います。

 また、やめたパイロット候補が再登場したときのシーン意味などは数話にわたって頭にメモしておく必要がありますし、場合によってはメモを書いて置かなければなりません。本サイトのレビューはこのメモにものすごく便利なので使っています。

 で、ミサキの遺伝子がグールとの接触で変化して、特殊な存在になっているのはほぼ明示されていると思います。
 その他の要素は沢山あります。あのロリロボット設定とか。ただ、そういうのはちょっと横に置いて本筋はなんだろうという見方をすればいいと思います。

 あとは題名ですね。カタカナの題名の場合は調べておくことですね。ダイバージェンスは「発散」「逸脱」「分岐」です。ただ、今や経済用語で「逆行」という意味です。多元宇宙と相性がいい意味は「分岐」でしょうか。シュタゲです。イヴですから、アダムとイヴのイヴですね。つまり大本のご先祖さまです。分岐の根っこ、つまりミサキが大本のイヴという意味なんだろうなあ、と想像ができます。そう考えると13話目の意味も見えてくるのではないでしょうか。
 4話の絵を描いていた少女だけ意味があるのかないのか未だに不明です。

 ということで、読み取るのは慣れればそう難解ではありません。必要ならWIKIを見てください。
 私はアニメはなるべくWIKIを見ないで分からないところは見返して楽しみたいのでスタッフや制作会社以外は基本見ていません。これもSFを読み解くコツかもしれません。
 解釈を間違えていて後から気が付くのもまたカタルシスです。

 本作は単独で見れば、多元宇宙を舞台にしたファーストコンタクトもので、ミサキを起点とした多元宇宙における分岐を扱ったものだということが読み取れます。
 
 やっぱり2003年ということでエヴァの世界系的な影響はあるものの、話のボディがハードSFでした。「リヴァイアス」「ジーンシャフト」「ステルヴィア」とかとちょっと同じ匂いがある作品ですね。まじめにアニメでSFしようとしていたのでしょう。
 不思議なことに続編の「みさきクロニクル」の記憶が無いんですよね。これから見ますけど…なんでしたっけ?


 本作についてはアニメとして言及すべきは3Dでしょうね。2003年ということもあって、チャレンジングではありますが、今では見られたものではありません。ストーリーを楽しむタイプの人じゃないと厳しいでしょう。
 ただ、2D部分はやっぱりゼロ年代アニメの丁寧さはいいですね。うれしくなります。

 キャラデザが極端に性的ですね。私はこの時代の明示的にエロが好きという感じのキャラデザは嫌いじゃないです。胸の形が単なるお椀じゃなくてちょっととんがっているのがこの時代ですね。ただ、顔の作画にくらべ身体はかなりデフォルメがきついので今みてエロいか、といわれると厳しいかも。

 EDはその最たるものですが、暗い話なので最後くらいは制作者も思いっきりハメを外したかったんでしょうか。なかなかの出来です。

投稿 : 2024/12/28
♥ : 7
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